造影検査

造影検査が必要な血管疾患

動脈疾患の多くは、大きく分けると2つの状態で考えられます。

血管が狭くなったり、あるいは、つまったりした状態(動脈の狭窄および閉塞)

血管が膨らんで瘤(こぶ)のようになってしまった状態(動脈瘤)


いずれの場合も動脈硬化性の病変が原因となることが多いのですが、それ以外の原因でもこのようなことが起こり得ます。 また、外傷やその他の病気が原因で検査や治療が必要になることがあります。
静脈疾患でも必要に応じて造影検査を行う場合があります(静脈造影検査)が、 超音波検査など他の検査で代用できることが多く、実際に行うことは少なくなってきました。

造影検査の目的と内容

血管疾患を診断して適切な治療を選択するためには、血管(主には動脈)の形態の変化や走行を知ることが重要です。
(血管の)造影検査は造影剤とよばれる薬を血管内に点滴、あるいは注射して、放射線撮影を行う検査で、血管の形態や走行を知るためにおこないます。
当院で多く行われている(血管の)造影検査には以下のものがあります。

血管造影検査(angiography)

造影CT検査(3-D CT検査を含む)

造影剤について

造影検査では造影剤とよばれる薬を血管内に直接、注入します。
一般に造影剤は比較的安全に使用されていますが、薬に対する感受性の違いや併存疾患、体調や体質等にも個体差があり、稀に副作用を生じる場合もあります。

特に以前、造影剤を使用して体調が悪くなったことがある方や、心臓疾患、腎臓疾患、アレルギー疾患、気管支喘息等の呼吸器疾患、その他、依存疾患をお持ちの方、又何か心配な点のある方はその旨お申し出下さい。

造影剤の副作用について

造影検査で使用される造影剤には、ごく稀に副作用が生じる場合があり、造影検査を行う前には問診をさせて頂き注意を喚起すると共に、万一、副作用が生じた場合でも迅速な対応が出来るよう配慮して行っています。
造影剤で起こり得る副作用の内、主なものには以下のものがあります。

蕁麻疹等の皮疹

気分不良

悪心・嘔吐

血圧低下

頭痛、めまい

掻痒感

浮腫

腎機能障害

呼吸困難

倦怠感

その他のアレルギー症状


また、造影剤が血管内に入ると、熱い(温かい)感じがすることが多いですが、通常は数秒間で消失するものであり、特に心配はいりません

血管造影検査(snhiohtspjy)

血管造影検査はほとんどの場合、動脈の造影検査です。 肘、鼠径部(太ももの一番頭よりのところ)、または手首等の比較的体表に近い動脈から、カテーテルと呼ばれる管を動脈内に入れ、これを通して造影剤を注入して血管を写し出し、放射線(レントゲン)撮影を行うものです。
カテーテルを入れる部位には局所麻酔をします。通常の注射程度の痛みがありますが、その後に痛みを生じることは通常ありません。
検査終了後はカテーテルを抜きますが、その抜いた部位の動脈からの出血を防ぐために、十分な時間、その部位を圧迫する必要があります。また、止血後もしばらくその部位の安静が必要です。

バイパス術後の血管造影
バイパス術後の血管造影
血管造影検査(angiography)の画像

造影CT検査

CT検査は、人間の体を輪切りにしたような像が得られる放射線検査です。造影剤を血管内に注入してCT検査をすることにより、血管が解りやすく映し出されたCT像が得られるため、有用な検査といえます。
最近ではCT画像をコンピューター処理により造影された部分のみ抜き出して再構築することにより、立体的な画像を作ることができる 3-D CT が使用されるようになりました。血管の形態が視覚的に理解できることが多く、診断に有用であると同時に患者様にも解りやすく、好評を得ています。
ある程度太い動脈に関しては、従来のカテーテルを用いた造影検査が不要になってきています。ただし、画像の処理に手間と時間がかかるため、多数の患者さんの検査をこなせない難点があります。当科で行う造影CTはほとんどの場合、静脈から造影剤の注入を行うため、通常の点滴と同じような処置を要します。

3D-CT(CTから再構築した画像)
3D-CT(CTから再構築した画像)
3D-CT検査の画像

この画像では造影された動脈には赤色、骨と石灰化(動脈硬化で硬くなった部分)には白色をつけてあります。左の矢印に示すように閉塞した総腸骨動脈には石灰化が点在していることがわかります。

3D-CT(CTから再構築した画像)
3D-CT(CTから再構築した画像)
造影CT検査の画像

腹部大動脈瘤、腸骨動脈瘤では術前造影検査は3D-CT検査のみで手術適応、手術術式を決定しています。従来の動脈造影検査は原則的に施行しなくなりました。

立体画像

この画像はホームページ用に回転させて立体画像を強調させています。
中央部の淡い黒色の部分が動脈瘤の部分です。胸腹大動脈瘤といわれる病気です。動脈内腔と色の濃さが異なるのは、動脈瘤の中で血液が渦を巻いて固まっているため造影剤が十分にいきわたらないためです。実際、診断に用いる場合には3D-CT画像をいくつかの軸で回転画像を作成し診断に最適な角度から固定した状態で観察します。
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